退職の罪悪感が消えないとき。中身を5つに分けて、片づく分だけ片づける

退職代行

ロッカーに、まだ湯呑みが入っている。

持って帰ると辞める話が現実になる気がして、先週も置いたままにした。

辞めると決めたのは2ヶ月前になる。

理由ははっきりしている。

それでも動けないとき、止めているのは会社ではなく罪悪感のことが多いです。

罪悪感は消えません。

ただ、中身を分けると、片づく分と片づかない分に分かれます。

片づく分を先に片づけると、残りは持ったまま歩けます。

罪悪感の中身は、たいてい5つに分かれる

「申し訳ない」とひとかたまりで感じているとき、中には別々のものが入っています。

1. 人手が足りない職場を抜けること

一番多いのがこれです。

来月のシフト表に、まだ自分の名前が入っている。

これを消してもらう場面を想像すると、手が止まる。

自分が抜けたら残った人の仕事が増える。

その顔が具体的に浮かぶから重い。

ここで一度、順番を確かめます。

人員が足りていない状態は、辞める話をする前からそこにありました。

1人減ると回らない職場は、誰かが体調を崩しても回らないし、誰かが産休に入っても回りません。

何人置くかを決めているのは会社です。

その決定の結果を、辞める側が肩代わりしている形になっています。

我慢して残っても、この状態は解決しません。

2. 育ててもらった、という気持ち

最初の頃に時間を割いてくれた先輩がいる。

その人に何も返せていない感じがする。

ただ、教えてもらった時間は業務時間の中にありました。

その先輩も、給料をもらってその時間を使っています。

個人的な貸し借りとして精算しなければいけないものではありません。

それでも返したいなら、在籍を延ばすより引き継ぎを丁寧にやるほうが実際に届きます。

3. 3ヶ月、1年目で辞めること

短い期間で辞める後ろめたさは、周りの反応より先に自分の中から出てきます。

「せっかく採ってもらったのに」という形をとることが多い。

採用にかかった費用を気にする人もいます。

ただ、合わない職場に3年いたところで、その費用が回収されるわけではありません。

回収されないまま、こちらの3年が減ります。

短期離職を履歴書でどう書くかは、転職活動の側で処理できる話です。

辞めるかどうかの判断とは切り離せます。

新卒1年目の場合の扱いは新卒1年目でも退職代行は使っていいのかにまとめています。

4. 本当の理由を言わなかったこと

人間関係が理由なのに「家庭の事情で」と言った。

体力的にきついのに「やりたいことが見つかって」と言った。

嘘をついた感覚が後に残ります。

退職理由に本当のことを言う義務はありません。

そして本当の理由を言うと、たいてい引き止めの材料になります。

人間関係なら部署を替えると言われる。

体力的にきついなら業務量を減らすと言われる。

条件の話に持ち込まれると、断り続ける時間が伸びます。

短く終わらせるための言い方であって、人を騙したわけではありません。

5. 自分の口で言わずに辞めること

退職代行を使うことへの罪悪感です。

「最後くらい自分で言うべきだ」という感覚は、それ自体は間違っていません。

ただ、それを実行できる状態かどうかは別の話です。

言おうとして3ヶ月言えていないなら、意志が弱いのではなく、その職場で口が動かなくなっているということです。

会社側からどう見えるかは退職代行を使うと会社にどう思われるかに書いています。

「自分がいないと回らない」を検算する

この感覚は、責任感が強い人ほど強く出ます。

確かめる方法があります。

去年、誰かが1週間休んだときのことを思い出す。

インフルエンザでも、家族の入院でも構いません。

そのとき職場は止まりましたか。

誰かが代わりに出て、予定が遅れて、文句が出て、それでも動いていたはずです。

辞めたあとも同じことが起きます。

速度は落ちます。

止まりはしません。

罪悪感が強い人ほど、辞めるのが遅れる

ここが実害の出るところです。

申し訳なさから、言い出す時期を後ろにずらす。

その間に繁忙期が来て、また言えなくなる。

言えない期間が伸びるほど、辞めることの重さが自分の中で膨らみます。

そして体のほうが先に来ます。

眠りが浅くなり、日中の判断が鈍り、ミスが増える。

ミスが増えると「この状態で辞めるのはもっと迷惑だ」という理由が新しく生まれます。

罪悪感が、罪悪感の材料を自分で作りはじめます。

この輪の抜け方はなぜ「辞めます」の一言が言えないのかで扱っています。

罪悪感を刺激してくる言い方

辞めると伝えたあと、こちらの罪悪感に触ってくる言葉があります。

言う側が計算しているとは限りません。

それでも効きます。

先に知っておくと、その場で固まらずに済みます。

「今辞められると本当に困る」

困るのは事実です。

ただ、困ることと、辞められないことは別です。

「ご迷惑をおかけします。退職日は◯月◯日でお願いします」と、日付を動かさずに返します。

謝る部分と、譲らない部分を分けて言うと短く終わります。

「みんな我慢してるんだけどね」

我慢している人がいることは、こちらが我慢する理由になりません。

この一言は、話を「辞めるかどうか」から「我慢が足りているかどうか」に移し替えています。

乗らずに、日付の話に戻します。

「後任が決まってからにしてくれ」

採用にかかる期間は会社の都合です。

そして後任が決まる保証もありません。

3ヶ月待って決まらなかったから、もう3ヶ月。

この形で1年経つことがあります。

待つと答える場合は、待つ期限を先に区切っておきます。

「引き継ぎだけはちゃんとしてね」

これは正当な要求です。

ただし範囲は、自分がやっていた仕事までです。

後任が一人前になるまで付き添う義務はありません。

引き継ぎで減らせる分と、減らせない分

罪悪感のうち、作業で減らせる部分があります。

後任が困るのは、多くの場合「どこに何があるか分からない」ことです。

これは紙に書けば消えます。

  • よく使うファイルの置き場所
  • 取引先の担当者名と、その人の癖(電話が早い、メールは見ない、など)
  • 月次でやることと、その締め日
  • 自分しか知らないパスワードと、その保管場所
  • 過去にもめた案件と、そのときどう収めたか

A4で2枚に収まります。

1時間あれば作れます。

清書はしなくていいので、思い出した順に書き足していく形で十分です。

これを渡しておくと、「引き継がずに放り出した」という形の後悔は消えます。

減らせないのは、人が1人減ること自体です。

それは引き継ぎ資料では埋まりません。

会社が採用するまで埋まりません。

そこは持たなくていい部分です。

自分の口で言わずに辞める手順

弁護士に依頼した場合、相談から退職完了まで何が起きるかを、順を追って書いています。

会社に「辞めます」を言えない人へ。弁護士が代わりに伝えるという方法 →

辞めたあと、罪悪感はどうなるか

すぐには消えません。

最初の1ヶ月くらいは、平日の昼に「今ごろあの作業をやっているな」と思う瞬間があります。

減っていくのは、たいてい次の生活が始まってからです。

時間が癒すというより、思い出す回数が単純に減ります。

そして残った側も、辞めた人のことをそこまで長くは話題にしません。

2週間もすると、新しい配置をどうするかの話に移っています。

自分の中でだけ、その職場はまだ動き続けています。

持っていていい罪悪感もある

全部を手放す必要はありません。

申し訳なさを感じるのは、その職場の人を人として見ていたということです。

問題は、その感情が辞める判断を止めていることのほうです。

感じたまま、日付を決めることはできます。

気持ちが軽くなってから動こうとすると、順番が逆になります。

動いたあとに軽くなります。

ロッカーの湯呑みは、最終出社日に持って帰ればいい。

その日付は、まだカレンダーに書いていない。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の法的判断を行うものではありません。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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