年の途中で転職したときの税金。源泉徴収票・年末調整・住民税の手続きの順番

年の途中で転職したときの税金。源泉徴収票・年末調整・住民税の手続きの順番 在職中の転職

入社日が決まり、退職日も上司と合意できた。
ほっとしたところで、給与明細の「所得税」と「住民税」の欄が目に入る。

所得税は、前の会社から届く源泉徴収票を転職先の年末調整に出せば、1年分の精算を転職先がしてくれます。
住民税は、辞める月によって、最後の給料から残りをまとめて引かれるか、自分で納める形に切り替わるかが分かれます。
どちらも、退職の日付と前の会社から受け取る書類で流れが決まります。

前の会社から源泉徴収票を受け取る

退職すると、前の会社から「給与所得の源泉徴収票」が交付されます。
前の会社で受け取った給与と、差し引かれた所得税がわかる書類です。
転職先での年末調整に使うので、届いたら封筒ごと分けて保管します。

交付の時期は、国税庁の案内では、年の途中で退職した人には退職の日以後1か月以内とされています。
所得税法にも、年の中途に退職した人には「その退職の日以後一月以内」に交付する、と会社の義務として書かれています。

1か月を過ぎても届かないときは、前の会社の総務・人事に、送り先の住所と発送の予定を問い合わせます。
引っ越しを控えているなら、退職の手続きのときに新しい住所を伝えておくと行き違いを防げます。
それでも受け取れずに困ったときは、住んでいる地域の税務署に相談できます。

例(前の会社に源泉徴収票の送付を確かめるときの型):
「〔〇〇〕月〔〇〇〕日付で退職いたしました〔氏名〕です。
転職先での年末調整に使うため、給与所得の源泉徴収票の発送予定を伺えますでしょうか。
送付先は〔住所〕でお願いいたします。」

出典: 国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」/e-Gov法令検索「所得税法」

転職先の年末調整に、前の会社の源泉徴収票を出す

国税庁の案内では、年の途中で就職し、年末まで勤務している人も年末調整の対象になるとされています。
転職先は、前の会社で支払われた給与、源泉徴収された所得税、社会保険料を、前の会社の源泉徴収票などで確かめて1年分を計算します。

1. 退職後、前の会社から源泉徴収票を受け取る
2. 転職先に入社し、年末まで勤める
3. 転職先から年末調整の申告書が配られる
4. 申告書に記入し、前の会社の源泉徴収票を添えて担当者に出す
5. 転職先が前の会社の分と合わせて1年分を精算する

入社の手続きの段階で、先に「前職の源泉徴収票を出してください」と言われることもあります。
提出の時期は会社によって違うので、入社時の案内に書かれた日に合わせます。

源泉徴収票が年末調整に間に合わないとき

前の会社の分が確認できないと、転職先は年末調整ができません。
その場合は、本人が確定申告で所得税などを精算することになります。
年末調整の締め切りまでに源泉徴収票を出せるかどうかで、精算を転職先がするか、自分でするかが分かれます。

届くのが遅れていると分かった時点で、転職先の担当者に「前職の源泉徴収票がまだ届いていない」と伝えておきます。
締め切りの前に伝えておけば、提出を待ってもらえるかを相談する余地が残ります。

退職日が年末に近いほど、源泉徴収票が届く時期も年末調整の締め切りに近づきます。
秋から冬にかけて辞めるなら、退職の手続きのときに「年末調整に使うので、できるだけ早く送ってほしい」と前の会社に伝えておきます。

出典: 国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」

住民税は、前の年の所得をもとに1年かけて納める

住民税は、前の年の所得に応じて決まり、1月1日の時点で住んでいる区市町村が課税・徴収します。
会社員は、6月から翌年5月までの毎月の給料から引かれます。
これを特別徴収と呼びます。
会社を通さない人は、区市町村から届く納税通知書で年4回に分けて納めます。
こちらは普通徴収です。

転職しても、すでに決まった年度の住民税の残りはなくなりません。
退職すると前の会社の給料から引けなくなるので、残りの納め方を切り替えることになります。
東京都主税局の事業主向けページでは、退職などの異動があったとき、会社は翌月10日までに区市町村へ「異動届」を出す必要がある、と案内されています。
切り替えは、この会社側の手続きから動き出します。

出典: 東京都主税局「個人住民税と特別徴収について」/東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」

辞める月で、住民税の納め方が変わる

東京都主税局の事業主向けページで、会社側の手続きとして案内されている内容を、辞める月ごとに並べます。

辞める月 残りの住民税
6月〜12月 普通徴収に切り替え、本人が直接納める。本人が申し出れば、給与や退職金から一括で引いてもらえる
1月〜4月 5月31日までに支払われる給与や退職金が残りの額を超えるなら、申し出がなくても一括で引かれる
5月 最終月分として、給料から引かれる

6月から12月に辞める場合

何も申し出なければ、残りは普通徴収に切り替わります。
退職のあと、住んでいる区市町村から納税通知書が届くので、書かれた納期に合わせて納めます。
自分で納める手間を避けたいなら、退職の手続きのときに「残りは最後の給与か退職金から一括で引いてほしい」と申し出る方法があります。
その分、最後の給料の手取りは減ります。

1月から4月に辞める場合

最後の給与や退職金から、残りがまとめて引かれます。
大阪市の事業主向けページも、1月1日から4月30日までの異動は申し出にかかわらずまとめて徴収するとし、地方税法第321条の5第2項を挙げています。
いつもの月より引かれる額が大きくなるので、最後の手取りは低めに見込んでおきます。

5月に辞める場合

5月は、6月から始まる住民税の1年の最後の月にあたります。
東京都主税局の事業主向けページでは、5月の退職も最終月分として特別徴収で納めるとされています。
いつもの月と同じく、最後の給料から引かれる形です。

出典: 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」/大阪市「退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)」

転職先の給料から、引き続き住民税を引いてもらう

大阪市の事業主向けページには、新しい勤務先で特別徴収を続ける場合の手続きが載っています。
前の会社が新しい勤務先の経理担当者に事前に連絡し、「給与所得者異動届出書」に新しい勤務先の所在地・名称・連絡先を書いて出す流れです。
このページは転勤の場合として、会社側の手続きとして書かれています。

特別徴収が続けば、住民税は転職先の給料から毎月引かれる形のままになります。
納税通知書を受け取って自分で納める手間も、6月から12月に辞めたときに最後の給料からまとめて引かれる負担もかかりません。

転職で同じように引き継げるかは、会社や市区町村の事情で変わります。
続けたい場合は、退職日が決まった段階で、前の会社の総務・人事に「転職先で特別徴収を続けられるか」を聞き、転職先の担当者にも同じことを伝えておきます。
両方の会社で判断がつかないときは、住んでいる市区町村の住民税の担当が窓口です。

出典: 大阪市「退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)」

退職の話をする前に、給与明細を1枚出しておく

最新の給与明細で、住民税の欄に毎月いくら引かれているかを見ます。
退職日の月が上の表のどこに入るかを見て、最後の給料から一括で引かれるかどうかの見当をつけます。
退職日の月と、毎月の額をスマホのメモに並べて打ち込みます。

総務・人事と退職の手続きの話をするときは、そのメモを画面に出したまま、住民税の残りをどう納めるかを聞きます。

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