新卒1年目でも退職代行は使っていいのか

入社してまだ1年も経っていないのに、もう辞めたい。そう思った瞬間、多くの新卒社員が感じるのは「こんなに早く辞めたら、社会人として失格なんじゃないか」という強い罪悪感です。研修にお金をかけてもらった、先輩に教えてもらった、そう考えるほど、退職代行という選択肢は自分には使う資格がないもののように思えてきます。ここでは、その気持ちに向き合いながら、新卒1年目という状況を整理してみます。

「まだ1年」という基準は誰が決めたのか

「石の上にも三年」という言葉があるように、日本の職場には一定期間は我慢して働くべきだという価値観が根強く残っています。しかし、この基準はあくまで一般論であり、法律上も会社の就業規則上も、勤続年数によって退職の権利が制限されることはありません。民法上、雇用期間の定めがない働き方であれば、意思表示から一定期間で退職は成立します。入社1年目だからという理由だけで、退職代行を使うことがふさわしくないという根拠は、実はどこにも存在しません。

早期離職には、それなりの理由がある

新卒での早期離職が話題になる時、しばしば「今どきの若者は根性がない」という文脈で語られがちです。しかし実際には、聞いていた仕事内容と全く違う、教育体制がなく放置されている、パワハラまがいの指導が続いているなど、続けられない理由がはっきりしているケースが少なくありません。1年目という時期は、社会人としての経験値がまだ少ない分、異常な環境に対して「これが普通なのかもしれない」と自分を納得させてしまいやすい時期でもあります。違和感を我慢し続けた結果、心身を壊してから辞めるよりも、早い段階で判断することには意味があります。

試用期間中でも代行は利用できる

試用期間中であっても、雇用契約が結ばれている以上、退職の意思表示に関するルールは通常の社員と変わりません。「試用期間中だから辞められない」ということはなく、退職代行サービスの多くも、入社直後や試用期間中の相談に日常的に対応しています。むしろ、右も左もわからない状態で一人退職を切り出すのが難しい時期だからこそ、代行を頼るという選択には合理性があります。

今後のキャリアへの影響を考える

早期に退職した経歴が、その後の転職活動でまったく影響しないとは言い切れません。ただし、退職理由をどう伝えるかは、退職代行を使ったかどうかとは別の問題です。「環境が合わなかったため、早い段階で見切りをつけた」と前向きに説明できれば、それ自体が大きなマイナスになることは多くありません。1年目でつまずいた経験を、次の職場選びにどう活かすかのほうが、長い目で見れば重要です。

周囲からの視線が気になるとき

新卒1年目で辞めるとなると、家族や友人からどう思われるかが気になるという声もよく聞きます。「せっかく入った会社なのに」「もったいない」といった言葉を想像するだけで、決断が鈍ってしまう人も少なくありません。ただ、実際に働き続けて心身を壊してしまえば、そこから立て直すのにはさらに長い時間がかかります。周囲の反応は、退職を決めた本人が一番よくわかっている「今の環境で働き続けることの難しさ」までは共有できていないことがほとんどです。誰かの期待に応え続けることと、自分の状態を守ることは、必ずしも両立するとは限りません。

新卒特有の不安に寄り添う相談窓口も増えている

退職代行サービスの中には、新卒や第二新卒からの相談に慣れている窓口も増えてきています。社会人経験が浅いからこそ感じる「これって甘えなんじゃないか」という不安に対しても、事務的に処理するだけでなく、状況を丁寧にヒアリングしたうえで対応してくれるところもあります。一人で抱え込まず、まずは話を聞いてもらうという段階から始めてみるだけでも、気持ちの整理がつきやすくなります。

まとめ

「1年も経っていないから我慢すべき」という考え方に、法律的にも実務的にも根拠はありません。心身をすり減らしてまで続ける必要のない環境であれば、早い段階での決断も十分に選択肢のひとつです。大切なのは、周囲がどう思うかではなく、自分がこれからどう働き、どう生きていきたいかという視点です。

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