退職前に有給休暇を使い切る段取り。残りの日数の確かめ方と最終出社日の決め方

退職前に有給休暇を使い切る段取り。残りの日数の確かめ方と最終出社日の決め方 在職中の転職

内定の連絡が来て、応募先から入社日の希望を聞かれた。
退職日を決めようとカレンダーを開いたところで、有給休暇があと何日残っているのか、すぐには答えられないことに気づきます。
残りの日数がわかれば、最後に出社する日も、入社日の候補も、同じ計算で決まります。

退職を控えていても、残りの有給は、請求した日に取れるのが原則です。
会社が日をずらせるのは、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合だけです。
労働局のQ&Aも、従業員の大半が同時に休むような場合でなければ、与えなくてはならないと考えたほうがよい、としています。

残りの日数を確かめる

最初にやるのは、今の時点で残っている日数を数字で押さえることです。
確かめる場所は、会社によって違います。
よく使われるのは次の三つです。

1. 給与明細の勤怠の欄(「有休残」「有給残日数」などの項目がある会社もあります)
2. 勤怠システムや社内ポータルの休暇の画面
3. 人事・総務の担当者への問い合わせ

給与明細に載っている数字は、いつ時点のものかも見ておきます。
明細を締めたあとに休んだ日が、まだ引かれていないことがあるからです。
どちらにも見当たらないときは、人事に「残りの日数と、それぞれいつ付与された分か」をまとめて聞きます。

残りの日数を聞くこと自体は、退職を決めていなくても、ふだんから誰でもしている問い合わせです。
日数の確認だけなら、退職の意思を先に伝える必要はありません。

法律で決まっている日数

会社から示された日数が妥当かどうかは、労働基準法の決まりと照らし合わせると見当がつきます。
雇い入れの日から6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤すると、10労働日の年次有給休暇が与えられます。
その後は、勤めた年数に応じて日数が増えていきます。

勤続期間 日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

この決まりは、業種や会社の規模に関係なく、すべての事業場の労働者に当てはまります。
入社日と勤めた年数を上の表に当てはめれば、毎年どれだけ付与されてきたかの見当がつきます。

出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第39条/鹿児島労働局「年次有給休暇 Q1」

有効期間は2年

付与された有給休暇が使えるのは、2年間です。
つまり、前の年に付与されて使わなかった分も、付与から2年がたっていなければ残っています。
今年の分だけを数えて「あと10日くらい」と思っていても、前年の残りを足すと、それより多いことがあります。

反対に、付与から2年を過ぎた分は使えなくなります。
人事に「それぞれいつ付与された分か」を聞いておくのは、このためです。
退職日までに期限が切れる分があるかどうかも、同じ一覧でわかります。

出典: 鹿児島労働局「年次有給休暇 Q4」

退職日から逆算して、最終出社日を決める

日数がわかったら、退職日から後ろ向きに数えます。
退職日を決め、そこから残りの有給の日数ぶん、会社の出勤日をさかのぼります。
さかのぼった先の前の出勤日が、最後に出社する日です。

数えるときは、土日や祝日、会社の休日を飛ばします。
法律の日数は「労働日」で書かれているので、会社の出勤日だけを数えます。
会社の年間カレンダーを横に置いて数えると、祝日や休日の見落としが減ります。

たとえば土日が休みの会社で、残りが15日、退職日を月末の金曜日にするとします。
退職日の金曜日を1日目として出勤日を15日さかのぼると、退職日の週を含めた3週間ぶんが有給の期間になります。
最終出社日は、その3週間が始まる前の金曜日で、退職日のちょうど3週間前です。
途中に祝日や会社の休日がはさまれば、その分だけ最終出社日は前にずれます。

入社日は、退職日の翌日以降で決めます。
有給の期間中も、退職日までは今の会社の社員です。
最終出社日を基準に入社日を決めると、二つの会社の日付が重なってしまいます。
応募先に入社日を伝えるときは、この退職日を起点にします。

最終出社日までの出勤日が、引き継ぎに使える日数になります。
担当顧客の多い営業職なら、この日数で引き継ぎが終わるかを先に見積もります。
足りなければ、退職日を後ろにずらし、応募先に伝える入社日も合わせて動かします。
退職の申し出期間の決まりは、退職を伝えるのは内定の前か後かの記事で触れています。

引き継ぎの予定と、有給の申請を一緒に出す

上司に退職を伝えるときは、有給の申請も同じ場で出します。
退職日だけを先に伝えると、有給の話を持ち出すころには引き継ぎの予定が組まれていて、話を戻すことになりやすいからです。
順番は、退職の意思、退職日、引き継ぎの予定、最終出社日と有給の日程、の並びにします。

残りを全部使いたいと申し出ても、会社は原則として指定された日に休ませることになります。
労働局のQ&Aに、退職を控えた従業員が残りの有給を全て使うと言い出した、という会社側の質問があり、答えはこの原則どおりです。

出典: 鹿児島労働局「年次有給休暇 Q6」

決まりがあっても、職場で気持ちよく休めるかは、引き継ぎの見通しにかかっています。
「いつまでに、誰に、何を渡すか」を紙1枚にまとめて持っていくと、上司も有給の日程を受け止めやすくなります。

例(上司に退職と有給の日程を伝えるときの型):
「〔〇〇〕月〔〇〇〕日付で退職させていただきたく、ご相談の時間をいただきました。
担当の引き継ぎは、〔〇〇〕月〔〇〇〕日までに〔〇〇〕さんへ済ませる予定で、一覧をお持ちしました。
残っている有給休暇が〔〇〇〕日ありますので、〔〇〇〕月〔〇〇〕日を最終出社日とさせてください。
翌日から退職日までは、有給休暇をいただければと考えております。」

申請の書式や提出先は、会社の決まりに合わせます。
口頭で話がまとまったら、勤怠システムや申請書で、その日のうちに正式に申請を出しておきます。

有給を買い取ってもらえるか

「休まずに働くかわりに、お金で払ってもらえないか」と考える人もいます。
法律で決まった日数は、お金で置き換えることができません。
労働局のQ&Aでは、金銭を支給しても有給休暇を与えたことにはならないとされています。
買い上げの予約をして、請求できる日数を減らすこともできません。

退職のときに、残った日数を会社が任意で買い取るかどうかは、会社の決まりしだいです。
制度があるかは、就業規則の休暇の条か、人事に確かめます。

出典: 鹿児島労働局「年次有給休暇 Q8」

認めてもらえないときの相談先

請求したのに会社が有給休暇を与えないのは、法律違反です。
それでも話がまとまらないときは、ひとりで抱えずに外の窓口を使えます。

総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や労働基準監督署内にあり、無料・予約不要で、面談か電話で相談できます。
残りの日数がわかる画面や明細、申請した日付、上司とのやりとりの記録を持っていくと、話が早く進みます。

出典: 鹿児島労働局「年次有給休暇 Q5」/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

今日、勤怠の画面を開く

次にパソコンの前に座ったら、勤怠システムの休暇の画面を開きます。
残りの日数と、それぞれの付与日を、会社の年間カレンダーの退職日の月に書き込みます。
画面に付与日が出ていなければ、人事への問い合わせのメールを、その場で下書きしておきます。

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