退職を伝えるのが怖いとき。言われそうな言葉と返す一文を先に紙に書く

退職を伝えるのが怖いとき。言われそうな言葉と返す一文を先に紙に書く 退職を言い出せない

退職を伝えるのが怖いとき、その怖さの中身が「上司に言われそうな言葉」の想像なら、前もって手当てができます。
言われそうな言葉を紙に書き出し、その横に返す一文を1つずつ書いておけば、面談の場でその場の思いつきに頼らずに済みます。
今日やるのは、雇用契約書か労働条件通知書の「契約期間」の欄を見ることと、A4の紙を1枚出して頭に浮かぶ言葉を全部書くことの2つです。

頭の中で鳴っている言葉を、紙に書き出す

夜、布団に入ってから「今辞められたら困る」「無責任だな」という言葉が、上司の声で何度も再生される。
紙に書くと、数に限りがあることが目に見えます。
紙の左半分に言葉を書き、右半分は空けておきます。
書き終えたら、行の頭に記号を付けて3つに分けます。

  • A:気持ちを責める言葉(「無責任だ」「育ててやったのに」など)
  • B:辞めさせない、と聞こえる言葉(「後任が決まるまでは無理」「認めない」「損害を払ってもらう」など)
  • C:答えを求める質問(「理由は?」「いつまで?」「次は決まってるの?」など)

ここで用意するのは、出てきたときに固まらないための札です。

「辞めさせない」と聞こえる言葉には、契約期間の欄で備える

雇用契約書か労働条件通知書を出して、「契約期間」の欄を見てください。

「期間の定めなし」とあれば、民法627条の話になります。
期間の定めのない雇用では、辞める申し入れから2週間で雇用が終わり、会社の承諾は要りません。
2週間は、申し入れを送った日ではなく、会社に届いた時から数えます。
届いた日そのものは数えず、翌日が1日目です。
上司に「認めない」と言われても、この数え方は変わりません。

出典: e-Gov法令検索「民法」第627条をもとに当サイトが要約/e-Gov法令検索「民法」第97条をもとに当サイトが要約/e-Gov法令検索「民法」第140条をもとに当サイトが要約

契約期間に「2026年4月1日から2027年3月31日まで」のような日付が書かれていれば、期間の定めがある雇用です。
この場合、契約の途中で辞めるには、原則として会社との合意か、民法628条の「やむを得ない事由」が要ります。
ただし、道はこの2つに限りません。
労働基準法137条により、期間が1年を超える契約なら、契約の初日から1年たった日以後は、会社に申し出ればいつでも辞められます。
一定の事業の完了までの契約と、労働基準法14条1項各号に規定する労働者は、この例外から外れます。
14条1項各号に誰が当たるかはこの記事では確かめていないので、迷ったら、後で書く総合労働相談コーナーに契約書を持っていけば、扱いを聞けます。

出典: e-Gov法令検索「民法」第628条をもとに当サイトが要約/e-Gov法令検索「労働基準法」第137条をもとに当サイトが要約

どちらの場合も、退職日は書いておくと伝わりやすいので、希望の日を1つ決めておきます。

言われそうな言葉ごとに、返す一文を1つ決める

紙の右半分に、返す一文を書きます。
Aの言葉には、言い返しません。
迷惑をかける点は認め、決めたことは動かさない、という形にします。

  • 「無責任だ」には、「ご迷惑をおかけするのは承知しています、引き継ぎは最後までやります」
  • 「後任が決まるまでは無理」には、「引き継ぎの資料は作ります、退職日は○月○日でお願いします」
  • 「認めない」には、「わかりました、退職のご連絡は今日、紙でもお渡しします」
  • 「損害を払ってもらう」には、「その件は私だけでは判断できないので、相談してからお返事します」
  • 「理由は?」には、「一身上の都合です、詳しくは控えさせてください」

返す一文は、1つの言葉に1つだけにします。
理由や事情を足すほど、そこが話し合いの材料になるからです。
損害の話は書き出しに入れておくだけで、出てくると決まっているわけではありません。

理由を聞かれたときの答え方は退職理由の嘘に罪悪感があるときに詳しく書いています。

話を切り上げる一文と、紙で渡す退職の文面

切り上げる一文も先に決めておきます。

「今日はお伝えするところまでにさせてください、続きは改めてお時間をいただけますか」
「この場でお返事はできないので、今日はここで失礼します」

期間の定めのない雇用なら、面談の前に、退職の申し入れを文面にしておき、話のあとで手渡すか、同じ日にメールで送ります。
この場合の2週間は会社に届いた時から数えるので、届いた日が残る形にしておくと後で困りません。
下の文面は、期間の定めのない雇用の場合に使うものです。

件名:退職のご連絡
○○課長
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
お伝えしたとおり、一身上の都合により、○月○日をもって退職いたします。
引き継ぎの資料は、○月○日までにまとめてお渡しします。
氏名

期間の定めがあり、途中で辞める根拠(会社との合意、やむを得ない事由、労働基準法137条)を確かめられていないなら、退職日を言い切る文面は渡さず、会社との合意に向けた相談の文面にします。
迷うなら、渡す前に総合労働相談コーナーで確かめます。

件名:退職のご相談
○○課長
お伝えしたとおり、一身上の都合により、○月○日での退職をお願いしたく、ご相談いたします。
氏名

1対1で話すこと自体が無理なとき、体が先に止まっているとき

同じ部屋に入るだけで手が震える相手なら、口で伝えることにこだわる必要はありません。
面談をせずに文面で伝える段取りは退職が怖くて言い出せないときに、怒鳴る・人前で責めるといった扱いが続いている場合はパワハラ・モラハラが辛くて辞めたい人へに書いています。

民間企業が運営する退職代行に頼めるのは、退職の意思を伝えるところまでです。
退職日の交渉や未払いの残業代の請求が要るなら、弁護士に相談します。
労働組合が団体交渉をする道もあります。
弁護士法72条は、弁護士・弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関する法律事務を取り扱うことや、その周旋を業とすることを、原則として禁じています。

出典: e-Gov法令検索「弁護士法」第72条をもとに当サイトが要約

自分の場合の扱いを聞きたいときは、労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーがあります。
厚生労働省の案内では、専門の相談員が面談か電話で対応し、予約不要・無料とされています。
ここは相談先で、退職の連絡を代わりにしてくれる窓口ではありません。

出典: 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」をもとに当サイトが要約

眠れない夜が続く、朝になると体が動かない、という状態なら、退職の段取りより先に、内科や心療内科を受診します。
ひとりで抱えきれないほど追い詰められているなら、この記事の最後に、24時間受け付けている電話の窓口を載せています。

今日と今週の手順

今日は、次の2つだけを済ませます。

  • 雇用契約書か労働条件通知書の「契約期間」の欄を見る
  • A4の紙の左半分に、言われそうな言葉を1行ずつ書き、A・B・Cの記号を付ける

今週の動きは、契約期間の欄と体の具合で分かれます。

  • 「期間の定めなし」なら、希望の退職日を1つ決め、上の「退職のご連絡」の○の部分を埋めて、渡す日を決める
  • 期間の定めがあり、契約が1年を超えるなら、初日から1年たっているかを数える
  • 期間の定めがあって扱いが分からないなら、契約書を持って総合労働相談コーナーで聞く
  • 上司と1対1で話せそうにないなら、面談はせずに文面だけで出す段取りに切り替える
  • 眠れない日が続いているなら、退職の段取りは後にして、先に受診の予約を取る

今夜、紙の右半分に、いちばん怖い言葉への返事を1行だけ書いてください。

死にたい、消えたいと思うほどつらいときは、退職の段取りより先に、次の電話で話してください。
どの窓口も、24時間受け付けています。
つながりにくいときは、もう一方の番号にもかけてください。

  • #いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク): 0120-061-338(フリーダイヤル・無料・24時間 365日)
  • よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル・無料・24時間対応、050で始まるIP電話からは 050-3655-0279(24時間対応))

出典: 厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口をもとに当サイトが要約(2026-10-23 確認)

アイキャッチのイラストはAI生成です。

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