上司が怖くて退職を言い出せないなら、会議室で2人きりになって口で切り出す形にこだわる必要はありません。
文面で先に知らせる、人事に相談する、面談に同席を頼む、退職代行に頼む、という伝え方があります。
この記事では、怖さの中身に合わせて伝え方を選ぶ順番と、そのまま使える言い方を書きます。
今日やるのは、体調と契約期間を確かめることと、安全に連絡できる相手と方法を1つ選ぶことの2つです。
なぜ言えないのかという気持ちの側の話は、「辞めます」の一言が言えない人の心理の記事にまとめてあります。
先に確かめる2つ、体調と契約期間
眠れない日が続く、出勤の途中で足が止まる。
怖さが体に出ているなら、退職の段取りより先に病院で診てもらってください。
医師の判断で、しばらく仕事を休むという道もあります。
もう1つは、労働条件通知書か雇用契約書の「契約期間」の欄です。
期間の定めが無ければ、この先の段取りがそのまま使えます。
契約期間の途中で辞めたい場合は、会社と合意して辞めるか、民法628条の「やむを得ない事由」に当たるかを先に確かめます。
契約の長さによって例外もあるので、迷ったら後で書く総合労働相談コーナーで聞いてください。
出典: e-Gov法令検索「民法」第628条/e-Gov法令検索「労働基準法」第137条(当サイトで要約)
伝える相手と形は、怖さの中身で選ぶ
怖さの中身と、伝える形の目安:
・口調がきついのが怖い → 文面で先に知らせてから、短い面談
・2人きりになると言い返せない → 人事か上の人に同席を頼む
・上司と話すと話がこじれる → 人事に先に相談する
・会社の誰とも話せる状態にない → 退職代行に連絡を任せる
迷ったら、明日の自分が実際に動ける形を選んでください。
人事に先に相談していい
退職はまず直属の上司に伝えるのが一般的な流れですが、上司と話すのが不安なら、人事に先に相談して差し支えありません。
そのとき、上司の言動を伝えるのは悪口ではなく、相談に必要な事実です。
いつ、どんな言葉を言われたか、そして今後どう連絡してほしいかを、そのまま伝えます。
面談が避けられないなら「1対1だとうまく話せないので、同席していただけますか」と頼みます。
人事の部署が無い会社なら、相談先は社長や、別の部署の責任者になります。
例(人事に伝える):
〇月〇日の面談で、〔上司の名前〕さんから大きな声で「辞めるなら今月の評価はなしだ」と言われました
退職の意思は変わりません
以後の連絡は、人事を通じてお願いします
退職日と最終出社日を分けて決める
就業規則の退職の条を開いて、何日前までに申し出ることになっているかを見ます。
その申し出の日から退職日までの間に、引き継ぎをする日、休日、有給を取る日を並べていきます。
最後に出社する日が最終出社日で、退職日より前の日になることがあります。
有給は所定の労働日に取る休みなので、退職日より後の日には置けません。
取るなら、取る日を決めて申し出の文面に入れておきます。
出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第39条/厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」(当サイトで要約)
辞めると決めたら、最初の一言は文面で
次の例は、期間の定めのない雇用で、退職の意思と日付が固まった人向けです。
この通知が会社に届いたあとは、原則として会社の同意なしに取り消せません。
まだ迷っているなら、「退職についてご相談したいことがあります」と時間をもらう文面から始めます。
例(社内メールで知らせる):
件名: 退職のご連絡
〔上司か人事の担当者の名前〕さん
お疲れさまです、〔自分の名前〕です
一身上の都合により、〔〇〇〕月〔〇〇〕日付で退職いたします
本日、このメールにて退職を申し出ます
最終出社日は〔〇〇〕月〔〇〇〕日を予定しています
引き継ぎの進め方について、15分ほどお時間をいただけないでしょうか
理由は「一身上の都合」だけで足ります。
社内メールを使わない職場なら、ふだん使っているチャットで同じ文面を送ります。
送ったら、宛先、送った日時、本文、届いた返信を、画面の写真かPDFにして自分の手元に残します。
辞めると社内のメールは開けなくなるからです。
ただし、顧客の名前や連絡先が写った画面、社外秘の資料は持ち出しません。
2日たっても返事が無ければ「先日お送りした件、お時間をいただけますでしょうか」と1行だけ送り直し、それでも無ければ人事に相談します。
「辞めさせない」と言われたとき
面談で声を荒らげられたり、「辞めるなんて認めない」と言われたりしても、その場で言い返す必要はありません。
「わかりました、今日はここまでにさせてください」と言って席を立ち、日時と言われた言葉をそのままメモに残します。
次の日に、上司に送ったのと同じ文面を、人事か上司のさらに上の人に送ります。
冒頭に「〇月〇日に〔上司の名前〕さんにお伝えした件です」と1行足します。
退職には、会社と話し合って合意で辞める普通の流れと、会社の承諾が要らない辞職の通知があります。
期間の定めのない雇用では、民法627条により、辞職の申し入れから2週間で雇用が終わり、会社の承諾は要りません。
この2週間は、送った日ではなく、会社に届いた日の翌日を1日目として数えます(民法140条)。
申し入れは、相談のように読める書き方ではなく、「〇日付で退職します」とはっきり伝わる書き方にします。
それでも受け取ってもらえないなら、退職届を書面にして、内容証明郵便に配達証明を付けて郵送する方法があります。
自分の場合の扱いを聞きたいときは、労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーに相談できます。
パワハラも対象で、予約は要らず、無料です。
退職の連絡を代わりにしてくれる窓口ではありませんが、内容によっては助言・指導やあっせんを案内してもらえます。
出典: e-Gov法令検索「民法」第97条・第627条・第628条/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(当サイトで要約)
会社の誰とも話せないなら、退職代行
会社の誰とも話せる状態にないなら、退職代行に会社への連絡を任せる道があります。
弁護士法72条は、原則として、弁護士・弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務やその周旋を業とすることを禁じています。
民間企業が運営するところに頼めるのは退職の意思を伝えるところまでで、条件の交渉が要るなら、弁護士への相談を考えます。
入っている労働組合があれば、組合が団体交渉をする道もあります。
伝えるだけか交渉を伴うかは実際のやりとりの中身で決まるので、会社と争いになりそうなら、依頼の前に弁護士に相談してください。
費用がかかり、引き継ぎの資料づくりなど自分で手を動かす部分も残ります。
出典: e-Gov法令検索「弁護士法」第72条(当サイトで要約)
今日やることと、今週中にやること
今日:
- 体調と、労働条件通知書の契約期間を確かめる
- 安全に連絡できる相手と方法を1つ選ぶ(病院、人事、上司への文面、退職代行のどれか)
今週中:
- 選んだ相手に連絡する(体調が悪ければ受診と、休む相談が先)
- 自分の場合の扱いを聞きたいなら、総合労働相談コーナーに相談する(退職の連絡は代わりにしない)
- 期間の定めのない雇用で辞めると決めたなら、退職日と最終出社日を入れた文面を送る
まずは労働条件通知書を出して、「契約期間」の欄に何と書いてあるかを見てください。
アイキャッチのイラストはAI生成です。



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