人が足りない職場で、退職を言い出せないとき。パートでも正社員でも使える、抜ける前の段取り

人が足りない職場で、退職を言い出せないとき。パートでも正社員でも使える、抜ける前の段取り 退職を言い出せない

人が足りない職場で辞めたいのに言い出せないなら、自分が抜けたあとの穴を2つに分けてください。
受け持っている作業の引き継ぎは自分の分で、人を採ることやシフトを組み直すことは会社の側の仕事です。
人手が足りないからといって、辞めると伝えてはいけないわけではありません。
今日やるのは、雇用契約書(労働条件通知書)の契約期間の欄と、シフトがいつの分まで出ているかを見ることです。

言う日をカレンダーで決める手順は、退職をなかなか言い出せないときに書きました。

「私が抜けたら回らない」を、紙の左右に分ける

辞めたあと、残った人の負担が増えることは実際にあります。
そこを打ち消そうとすると、かえって言えなくなります。
紙の左に自分が受け持っている作業を、右に人の数で決まることを書きます。

架空の記入例(スーパーの惣菜売り場、週4日のパートを想定):
左・朝の唐揚げと煮物の仕込みの順番
左・火曜と金曜の発注端末の入力
左・閉店前の値引きシールを貼る時刻と率
右・土日の朝に何人立つか
右・新しい人の募集
右・ほかの店から応援を呼ぶかどうか

左は、まず作業名と注意点を箇条書きにします。
右は、どれだけ考えても自分では決められません。
左が書き上がっていなくても辞める意思は伝えられ、細かい引き継ぎや担当はそのあと相談します。

契約の種類で、言える時期が変わる

パートでもアルバイトでも正社員でも、最初に見るのは契約期間の欄です。
「期間の定めなし」なら、民法627条により、働く側はいつでも解約の申し入れができます。
申し入れは会社に届いたときに効力が出て(民法97条)、原則は届いた日の翌日から数えて2週間で終わり、それより後の日を指定すればその日に終わります(民法140条)。
就業規則に「1か月前までに申し出る」などとあれば、その期限も見て日程を相談します。
厚生労働省のモデル就業規則の解説は、期間の定めのない雇用では、会社の承認がなくても、原則として14日を経過したときは退職となる、としています。

「6か月ごとに更新」のように期間が決まっている契約なら、終了日で辞める道があります。
厚生労働省のハンドブック「知って役立つ労働法」も、契約期間が満了すると労働契約は終了する、と説明しています。
更新しないと決めたら、終了日より前に伝えます。
「自動更新」とあれば、更新しない申し出の期限が契約書や就業規則に無いかも見ます。

終了日より前に辞めたいなら、会社と退職日を合意するか、民法628条の「やむを得ない事由」による解除かを分けて相談します。
1年を超える契約で、初日から1年が過ぎていれば、労働基準法137条により申し出ていつでも退職できます(一定の事業の完了までと決めた契約と、14条1項各号に当たる、高度な専門的知識等を持ちそれが要る業務に就く人・満60歳以上の人は除く)。

契約書の終了日を過ぎたまま、新しい契約書も無く働き続けている人もいます。
民法629条は、会社がそれを知りながら異議を述べないときは前と同じ条件で更新したものと推定し、その場合は627条の申し入れができると定めています。
自分がどれに当たるか迷ったら、労働局や労働基準監督署の中などにある総合労働相談コーナーで聞けます。
予約不要・無料ですが、退職の連絡を代わりにする所ではありません。

出典: e-Gov法令検索「民法」第97条・第140条・第627条・第628条・第629条/e-Gov法令検索「労働基準法」第14条・第137条/厚生労働省「モデル就業規則」第52条の解説/厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(当サイトで要約)

シフトの締め切りから、言う日を置く

シフト制の職場なら、次の希望を出す締め切りの前に言うと、店長が表を組む前に人数を考えられます。
すでに出ているシフトの日まで働くかは、退職日と一緒に相談します。

架空の例(期間の定めなし、就業規則は「1か月前までに申し出る」、翌月の希望は毎月20日締め):
11月30日で辞めたい
11月のシフトはもう出ているので、そこまでは出る前提で話す
12月の希望を出す11月20日より前で、1か月前に間に合う10月27日(火)に伝える

最初の一言と、「人が来るまで」と言われたとき

例(店長や上司に向けた最初の一言):
・まだ迷っている →「今後の勤務のことで相談があります、シフトの話の前に10分ほどいただけますか」
・期間の定めが無い契約で、辞めると決めた →「一身上の都合により、〔〇〇〕月〔〇〇〕日をもって退職します、それまでのシフトと引き継ぎの相談をさせてください」
・期間の定めがある契約で、次は更新しない →「〔〇〇〕月〔〇〇〕日の契約満了で退職し、更新はしません」

「辞めたいと考えています」という言い方は、合意退職の申し込みと読まれることがあります。
合意退職の申し込みと、「〇日をもって退職します」と言い切る辞職の申し入れとでは、あとから取り消せるかどうかの扱いが分かれることがあります。
どちらに当たるかは、文面や前後のやりとりで判断されます。
期間の定めがない契約で、民法627条により辞職する場合は、退職日は、届いた日の翌日を1日目として数えた14日目か、それより後の日にします(10月27日に届いたなら11月10日)。
LINEやメールで送った記録だけでは届いた日の裏付けにならないことがあります。
退職届を紙で手渡すなら、控えのコピーに受け取った日と相手の名前を書いてもらえるよう頼み、手元に残します。
受け取ってもらえないなら、内容証明郵便に配達証明を付けて送る方法があります。

人手不足の職場では、「次の人が来るまで待って」と返されることがあります。
退職日の根拠(無期の辞職、有期の満了、合意した途中退職)を確かめてあれば、「人の件はお任せします、私は〇日まで引き継ぎをやります」と返し、日付の話に戻します。
言い方を整えても、相手の返事までは決められません。
同じ話が続くときの返し方は、退職の引き止めの断り方にまとめました。

出典: 厚生労働省「モデル就業規則」第52条と解説/民法97条・140条・627条は前の出典と同じ(当サイトで要約)

連勤で体が先に音を上げているなら

人が足りないぶんを埋めて休みが取れず、眠れない、出勤前に吐き気がする日が続いているなら、言う日より先に受診します。

今日と今週にやること

今日:

  • 契約期間の欄で、「期間の定めあり・なし」、終了日を見る(手元に無ければ人事か店長に頼む)
  • 期間の定めがあるなら、自動更新の有無と、更新しない申し出の期限を契約書で確かめる
  • シフトがいつの分まで出ていて、次の希望の締め切りがいつかを見る

今週中、状況ごとに:

  • 迷っている → 紙の左右を書き、相談の時間をもらう
  • 期間の定めが無く、辞めると決めた → 就業規則の退職の条を見て、次のシフト希望の前に退職日を書いた一言を伝える
  • 期間の定めがあり、終了日が近い → 確かめた期限に合わせて、更新しないことを早めに伝える(期限を過ぎている、条項が分からないなら、契約書を持って総合労働相談コーナーに相談)
  • 期間の途中で辞めたい → 合意か628条・137条か、総合労働相談コーナーで先に聞く
  • 終了日を過ぎたまま、新しい契約書も無く働いている → 629条で更新と推定され627条の申し入れができる場合に当たるかを、同じ窓口で確かめる
  • 眠れない、出勤前に吐き気がする → 受診と、休む相談が先

左の紙の1行目には、明日の朝いちばんにやる作業を書いておきます。

アイキャッチのイラストはAI生成です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました