履歴書と職務経歴書の退職理由の欄。「一身上の都合」で済む所と、書き足す所

履歴書と職務経歴書の退職理由の欄。「一身上の都合」で済む所と、書き足す所 在職中の転職

職歴の欄を上から埋めていくと、最初の会社の2行目で手が止まります。
「入社」の行は迷わず書けた。
問題は、その下に置く「退職」の行に、何と添えるかです。

転職の理由は、人に説明しようとすると長くなります。
上司との相性、残業の多さ、やりたい仕事に回してもらえなかったこと。
けれど履歴書の職歴欄には、それを書く広さがありません。
長い話は、別の書類と面接に回すことになります。

先に断っておくと、履歴書の書き方に法律で決まった書式はありません。
ここに書くのは、採用の担当者が読み慣れている書き方と、その使い分けです。

履歴書の職歴欄は、1行で済ませる場所

自分から辞めた会社なら、「一身上の都合により退職」と書くのが通例です。
理由の中身には触れない言い回しで、読む側もそれ以上の説明をこの欄に求めていません。
「人間関係のため」「給与への不満のため」と書き足しても、得になる場面はまず無いでしょう。

自分から辞めたのではない場合は、言い回しが変わります。
会社の事業縮小や倒産で離れたなら「会社都合により退職」。
契約社員や派遣で期間が終わって離れたなら「契約期間満了により退職」。
ここを「一身上の都合」でまとめてしまうと、自分から辞めたように読めてしまいます。
会社の側の事情で辞めたのなら、その事実はそのまま書いておくほうが、面接で話がしやすくなります。

どちらとも言い切りにくい辞め方もあります。
会社が募った早期退職に手を挙げた場合は、自分で応じたので「一身上の都合」と書く人もいれば、「早期退職の募集に応じて退職」と事情を残す人もいます。
後者のほうが、面接で「なぜ辞めたのか」の説明が一言で済みます。

病気やけがの療養で辞めた場合は、職歴欄は「一身上の都合により退職」で止め、療養のことは後で書く職務経歴書の側に回すことが多いでしょう。
履歴書の職歴欄には、病名までは書かないのがふつうです。

反対に、退職の行を書かなくていい場面もあります。
勤めている間に、会社の名前だけが変わったときです。
自分は辞めておらず、同じ会社で働き続けているなら、そこに退職の行は要りません。
「〇〇株式会社に社名変更」のように、何が起きたかを1行で書けば、読む人は職歴が続いていると分かります。
ここを「退職」「入社」と書くと、転職の回数が実際より多く見えてしまいます。
合併やグループ内の籍の移動のように、雇い主そのものが変わったかどうか自分では分かりにくいときは、当時の辞令や雇用契約の書面を見て、どう書くかを決めます。

例(履歴書の職歴欄):
2016年4月 株式会社〇〇 入社
      営業部に配属、法人向けの提案営業を担当
2021年3月 一身上の都合により退職
2021年4月 株式会社△△ 入社
      現在に至る
                    以上

今いる会社の行は、「退職」と書かない

在職中の転職で間違えやすいのが、今の会社の扱いです。
まだ辞めていない会社に「退職」と書くと、事実と違う書類になります。
入社の行の下に「現在に至る」と書き、その下の行の右端に「以上」と置くのが、よく見る形です。

退職の日がすでに決まっているなら、「〇〇年〇〇月 退職予定」と書き添えることもできます。
まだ上司に切り出していない段階なら、予定の日付は書きません。
面接で入社できる時期を聞かれたときに、口で答えます。

前の会社の欄も、今の会社の欄も、行の数に気を使うあまり部署名や担当業務を削りすぎる人がいます。
退職理由の行を短く済ませたぶん、入社の行のすぐ下に、何をしていたかを1行入れておくと、職務経歴書へのつなぎになります。

書き足すのは、読む人が首をかしげる所だけ

「一身上の都合」で済ませた行のうち、採用の担当者が理由を知りたくなる所があります。
たとえば、入社して1年たたずに辞めている会社。
前の会社を辞めてから次の会社に入るまで、半年以上あいている期間。
同じ時期に、短い在籍がいくつも続いている所。

こうした所は、履歴書の職歴欄ではなく、職務経歴書の側で短く補います。
履歴書の1行に詰め込もうとすると、言い訳がましい長さになるからです。
職務経歴書は書式の自由が大きく、会社ごとの欄の終わりに「退職理由」の小見出しを足すことができます。
書き足すのは、首をかしげられそうな会社の分だけにします。
全部の会社に退職理由を書き並べると、かえってそこばかりが目立ちます。

職務経歴書の退職理由は、2行で止める

書き足すときの長さは、2行くらいが目安です。
辞めた事情を1行、そこから次に何をしたいかを1行。
3行目に入ると、たいてい前の会社の不満の説明になっています。

不満があったこと自体は、隠さなくていい。
ただ、書類に残す言葉は、不満の裏にある「やりたかったこと」のほうに寄せます。
「残業が多かった」ではなく、「顧客と話す時間を増やせる体制で働きたいと考えた」。
同じ事実を、前向きな側から言い直す作業です。

例1(上の履歴書とは別の人で、最初の会社を10か月で辞めた人の職務経歴書):
■ 株式会社□□(2020年4月〜2021年1月)
退職理由: 入社時に聞いていた法人営業ではなく、店頭での販売に配属が決まり、法人向けの提案に携わる機会がないまま時間が過ぎたため
入社後10か月での退職となりましたが、2021年4月に入社した現在の職場では法人営業に就き、5年半続けています

例2(さらに別の人で、あいだに離職期間がある人の職務経歴書):
■ 離職期間(2024年5月〜2024年12月)
家族の介護のため離職し、この期間に介護の体制を整えました
2025年1月に現在の職場に入社し、それ以降、勤務に支障は出ていません

空白の期間に資格の勉強や職業訓練をしていたなら、それも1行で書けます。
何もしていなかった期間を、何かをしていたように飾ると、面接で中身を聞かれたときに話が続きません。
「療養のため」「家族の事情のため」と書いて、今は働ける状態だと添えれば、読む人の知りたいことには答えています。

書類と面接で、話をずらさない

書類に書いた退職理由は、面接でたいてい掘り下げて聞かれます。
職務経歴書に「法人営業をやりたかった」と書いたのに、面接で「上司と合わなくて」と話し始めると、聞く側はどちらが本当かを考え始めます。
書類を出す前に、書いた2行を声に出して読み、そのまま面接で話せるかを確かめておきます。

言い回しを選ぶことと、事実を変えることは、別の話です。
自分から辞めたのに「会社都合により退職」と書く、在籍の期間を延ばして短い在籍を隠す、といった書き換えは、後で書類と事実が食い違う原因になります。
厚生労働省のハンドブック「知って役立つ労働法」は、内定取消しが正当と判断され得る場合の1つに、「履歴書の記載内容に重大な虚偽記載があった場合」を挙げています。
書き方に迷う行があるときは、事実と違う理由は書かず、面接で聞かれたらそのまま事情を話せる書き方にとどめます。
退職理由の行をきれいに見せたいときほど、日付と辞め方の事実はそのまま残しておきます。

出典: 厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」(当サイトで要約)

職務経歴書の本体にあたる、仕事の中身と成果の書き方は、営業職の強みを職務経歴書の言葉にする方法の記事が先に出ています。
退職理由の2行は、その下に添える短い注記くらいの重さにとどめます。

下書きの職務経歴書を開いて、退職理由の小見出しを足した会社を数えてみます。
そのうち、面接で同じ2行をそのまま声に出して言える会社は、いくつありますか。

アイキャッチのイラストはAI生成です。

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