電話が先で、メールが後。
内定を断る連絡の順番は、これで足ります。
電話で担当者に直接伝え、話した内容をメールで残す。
迷うのは順番よりも、電話口で何を言うかと、理由をどこまで話すかのほうです。
2社から内定が出て、片方に入社すると決めた。
在職中の転職だと、もう片方への連絡は、昼休みか仕事のあとに急いで済ませることになりがちです。
言うことを先に紙に書いておくと、短い時間でも落ち着いて話せます。
決めた日のうちに連絡する
辞退すると決めたら、その日のうちに連絡を入れます。
内定を出した会社は、こちらの返事を待つあいだ、ほかの候補者への連絡や入社の準備を止めていることがあります。
返事が1日遅れるごとに、先方の段取りも1日ずつ後ろにずれます。
回答期限の当日まで黙っておく理由は、ほとんどありません。
言いにくさで先延ばしにしたくなる連絡ほど、早いほうが話は短く済みます。
夜のうちに決めたなら、翌朝、会社の営業時間が始まってしばらくしてからかけます。
夜中にメールだけ送っておく方法もありますが、そのときも翌日の電話はかけます。
エージェント経由で応募した会社は、窓口が違う
転職エージェントの紹介で応募した会社なら、辞退を伝える相手はエージェントの担当者です。
企業との日程調整や条件のやりとりをエージェントが受け持っていた場合、企業に直接電話をかけると、話の通り道がねじれます。
エージェントに連絡し、企業への伝え方はそちらに任せます。
伝える中身は、企業に直接言う場合と変わりません。
お礼、辞退の意思、理由をひとこと。
エージェントから理由を少し詳しく聞かれることもあります。
話せる範囲で答え、話したくないところは、そう言って断ります。
エージェント経由の会社と、自分で直接応募した会社が混ざっているときは、手帳に会社ごとの窓口を書き分けておきます。
同じ日に2本の電話をかけることになっても、相手を取り違えずに済みます。
電話で言うこと
かける相手は、内定の連絡をくれた採用担当者です。
朝の始業直後や昼どき、終業の間際は避けて、会社の営業時間の中でかけます。
担当者が不在なら、戻りの時間を聞いてかけ直すか、伝言を頼んだうえでメールを送ります。
かける前に、机の上に3つ出しておきます。
内定の連絡が来たメールか通知書、担当者の名前と部署を書いたメモ、言うことを書いた紙です。
相手の名前を電話口で聞き直すと、それだけで話が1往復ぶん長くなります。
電話口で伝えることは、名乗り、内定へのお礼、辞退の意思、おわびの4つです。
「辞退を考えている」「迷っている」と、ぼかした言い方はしません。
先方が引き止めの話をしてよいのか迷ってしまい、電話が長くなります。
例(電話で辞退を伝える):
「〔〇〇〕月〔〇〇〕日に内定のご連絡をいただきました、〔氏名〕です
〔担当者名〕様はいらっしゃいますか
(担当者に代わってから)
先日は内定のご連絡をいただき、ありがとうございました
大変申し訳ないのですが、検討した結果、今回の内定を辞退させていただきたく、お電話いたしました
選考にお時間を割いていただいたのに、申し訳ありません
のちほど、メールでも同じ内容をお送りいたします」
理由は、聞かれた分だけ答える
理由を聞かれたら、「ほかの会社への入社を決めた」と伝えれば、話の筋は通ります。
その会社の名前や、条件の比較まで話す必要はありません。
社名を聞かれたら「申し訳ありませんが、控えさせてください」で通ります。
本当の理由が、給与や勤務地、面接で感じた雰囲気だったとしても、それを細かく説明する場ではありません。
「自分の希望する仕事の内容に、より近いと考えた」のように、相手の会社を下げない言い方にとどめます。
作った理由は、聞き返されたときに話が合わなくなるので使いません。
「もう一度会って話を聞いてほしい」と面談を求められることもあります。
気持ちが変わらないのなら、お礼を言ったうえで「決めたことですので」と断ります。
会いに行くかどうかは自分で決めてよく、会ったから辞退を取り消さなければならない、ということもありません。
メールで、同じ内容を残す
電話が終わったら、同じ日のうちにメールを送ります。
いつ、誰に、何を伝えたかが記録として残り、担当者も社内に回しやすくなります。
電話がつながらなかった場合は、このメールが最初の連絡になるので、電話をかけたことも一文入れます。
例(電話のあとに送るメール):
件名: 内定辞退のご連絡(〔氏名〕)
〔会社名〕人事部〔担当者名〕様
本日お電話でお伝えしましたとおり、このたびの内定を辞退させていただきます
選考ではお時間をいただき、またご丁寧にご対応いただき、ありがとうございました
ご期待に沿えず、申し訳ございません
本来であればお伺いしておわびすべきところ、メールでのご連絡となりますことをお許しください
〔氏名〕〔電話番号〕〔メールアドレス〕
入社の手続きのために書類を受け取っていたら、その扱いもこのメールで聞いておきます。
返送するのか、処分してよいのかは、会社によって違います。
返送するなら、書類だけを封筒に入れず、「内定辞退に伴い、お預かりしていた書類をお返しいたします」と書いた一筆箋を1枚添えます。
こちらから出した履歴書などの応募書類がどう扱われるかが気になるときも、同じメールで一緒に聞いておきます。
承諾の返事をしたあとで断るとき
一度「入社します」と返事をしたあとに断るのは、承諾の前に断るより重い連絡になります。
とはいえ、断れなくなるわけではありません。
厚生労働省のハンドブック「知って役立つ労働法」は、採用内定によって労働契約が成立したと認められる場合がある、と説明しています。
契約が成立していても、期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により、働く側から解約の申し入れができます。
ただ、民法1条2項は、権利の行使と義務の履行は「信義に従い誠実に行わなければならない」と定めています。
断れることと、断り方が誠実かどうかは、分けて考えておきます。
承諾のあとに断ると決めたら、できるだけ早く、電話で、おわびを添えて伝えます。
入社日の直前になればなるほど、先方の準備は進んでいます。
「損害を払え」と言われた、受け取った入社書類をすぐ返すよう強い口調でくり返し言われた。
そこまでこじれたら、ひとりで抱えずに外の窓口に持ち込めます。
採用をめぐるもめごとも、総合労働相談コーナーが受ける相談に入っていて、就活生の相談も扱っています。
予約は要らず、費用もかかりません。
開いているのは平日だけで、土曜・日曜・祝日と年末年始は閉まっています。
出典: 厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」/e-Gov法令検索「民法」第1条・第627条/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(当サイトで要約)
入社を決めたほうの会社の労働条件の書面は、辞退の電話をかける前に手元にそろっているかを見ます。
見る場所は内定承諾の前に労働条件通知書で確かめる項目にあります。
電話を切ったあと、少し手が震えていることがあります。
メールの下書きは、電話の前に作っておいたものを開くだけです。
送信の時刻は、通話の記録の時刻から10分後くらいになります。
アイキャッチのイラストはAI生成です。



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