退職をなかなか言い出せないとき。時機を待たずに言う日を決める段取り

退職をなかなか言い出せないとき。時機を待たずに言う日を決める段取り 退職を言い出せない

退職をなかなか言い出せないまま何週間も過ぎているなら、言いやすい時機を待つのをやめ、辞めたい日から逆に数えて、言う日をカレンダーで先に決めてください。
怖さが残ったままでも、口で言えなければ文面で伝える道や、相談できる窓口があります。
今日やるのは、辞めたい日を1つ決めて、就業規則の退職の条を開くところまでです。

言えない気持ちそのものの話は「辞めます」の一言が言えない人の心理に、面談の時間のもらい方は上司に退職を切り出す最初の一言に書きました。

迷っているのか、決めたのに言えないのか

「なかなか言い出せない」には、辞めるかどうかをまだ決めていない状態と、決めているのに口に出せない状態が混ざっています。
前者なら、言う段取りより先に、辞めるかどうかを決めます。
辞めたい日やお金の見通しが未定でも、気持ちが固まっていれば後者で、このあとの段取りが使えます。
日付と、辞めたあと数か月の暮らし方は、意思とは別の準備として詰めます。

決まらないうちに上司に話すなら、「退職するかはまだ決めていませんが、ご相談があります」と添えます。
退職願のように会社の承諾を求める形と、「〇日付で退職します」と伝える辞職の申し入れとでは、あとから取り消せるかどうかの扱いが分かれることがあります。
言い切る文面は、取り消せない前提で、決めてから出します。

出典: 厚生労働省「モデル就業規則」第52条と解説(当サイトで要約)

体に出ているなら、段取りより受診が先

眠れない日が続くなど体に出ているなら、言う日より先に病院で診てもらってください。
休職の制度があれば、診断書を添えて休み、そのあいだに退職を考えることもできます。

何を待っているのかを書き出す

待っているものを紙に書き出し、わかっている日付も添えます。

例(書き出した「待ち」):
・今の案件が終わるまで(納品は11月20日)
・賞与が出るまで(支給日は12月10日)
・繁忙期が落ち着くまで
・上司の機嫌がいい日
・後任が決まるまで

日付が書けるものは、言う前に済ませたいもの(納品など)と、辞める日まで在籍していたいもの(賞与など)に分けます。

「落ち着くまで」は、去年の同じ時期に落ち着いた週が本当にあったかを思い出します。
上司の機嫌も後任選びも、こちらでは決められません。
同僚に仕事を残す後ろめたさがあっても、自分の受け持ちは引き継ぎを終えるところまでです。
日付の無い待ちは、線を引いて消します。

言う日は、辞めたい日から逆に数える

先に、労働条件通知書か雇用契約書の「契約期間」の欄を見ます。
契約期間の途中で辞めたい場合は、会社と合意して辞めるか、民法628条の「やむを得ない事由」に当たるかを確かめます。
1年を超える契約で、契約期間の初日から1年が過ぎていれば、労働基準法137条により申し出ていつでも退職できます(一定の事業の完了までと決めた契約や、労基法14条1項に当たる、高度な専門的知識等を持つ人・60歳以上の人は除く)。

次に、就業規則の退職の条で「何日前までに申し出るか」を確かめます。
会社は就業規則を働く人に周知することになっていて(労働基準法106条)、見つからなければ総務か人事に見せてもらいます。
厚生労働省のハンドブック「知って役立つ労働法」は、退職の意思を伝え、引き継ぎをするなどの社会的ルールを守ってやめることが、トラブルの防止のために大切だとしています。
モデル就業規則の解説は、期間の定めのない雇用では、会社の承認がなくても、原則として14日を経過したときは退職となる、としています。

引き継ぎに何日かかるかを見積もります。
数えるときは、暦の日と勤務日を分けます。
カレンダーに会社の休日と、最後に取りたい有給の日を先に置き、残った勤務日に引き継ぎを割り当てます。
就業規則の期限と引き継ぎの両方に間に合う日が、言う日の目安です。
法律の締め切りではありません。

出典: e-Gov法令検索「民法」第627条・第628条/e-Gov法令検索「労働基準法」第14条・第106条・第137条/厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」/厚生労働省「モデル就業規則」第52条の解説(当サイトで要約)

例(12月31日に辞めたい、年末の休みは12月29日から):
就業規則は「退職の1か月前までに申し出る」
有給10日を、勤務日で数えて12月15日〜28日に置く
引き継ぎ15日を、11月24日〜12月14日の勤務日に置く
納品を終えた11月20日(金)の夕方に言えば、両方に間に合う
休日の並びは会社ごとに違うので、自分のカレンダーで数え直す

待っている出来事が辞めたい日より後なら、本当に待つ必要があるかを選びます。
案件なら辞める日までの引き継ぎを相談する手もあり、待つと決めたものだけ辞めたい日を見直します。
賞与は支給日だけで決めず、賞与規程にある「支給日に在籍」などの条件や、退職が決まった人の扱いを確かめます。
言う日が決まったら、その日と、2〜3日前の「時間をもらう連絡を送る日」を予定に入れます。

当日、言えなかったら

言えなかったら、その日の帰りまでに「ご相談したいことがあるので、明日か明後日に15分ほどお時間をいただけますか」と送ります。
口で無理なら、退職の意思と日付を書いた文面を社内メールかチャットで送る方法もあります。
次の例は、期間の定めのない雇用で辞めると決めている人向けです。
書く退職日は、文面が会社に届いた日の翌日から数えて2週間を過ぎた日以降にします。
それより先の日を書けば、通常はその日が退職日で、早く辞めたいなら会社と合意できるかを先に確かめます。

例(言えなかった日の帰りに送る):
〔上司の名前〕さん
今日お話しするつもりでしたが、うまく切り出せず、文面で失礼します
〔〇〇〕月〔〇〇〕日付で退職します
引き継ぎの進め方について、近いうちに15分ほどお時間をいただけますか

送ったものは残しておきますが、送信の記録だけでは届いた日の裏付けにならないことがあります。
返信が無ければ、届いているかを口頭で確かめます。
それも難しければ、退職届を内容証明郵便に配達証明を付けて送ります。
「考え直して」と言われても、日付は変えずに「引き継ぎの相談をさせてください」と返します。

退職の意思表示は、相手に届いた時から効力が生じます(民法97条)。
正当な理由なく受け取りを妨げられたときの決まりもありますが、返信が無いだけで当てはまるとは限りません。
期間の定めのない雇用なら会社の承諾は要らず、627条の2週間は会社に届いた日の翌日を1日目として数えます(民法627条・140条)。
伝えたあと怒鳴られる、何度も呼び出されるなら、日時と言われた言葉をメモし、人事か、労働局などにある総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に相談します。
連絡を代わりにしてくれる窓口ではありません。

出典: e-Gov法令検索「民法」第97条・第140条・第627条/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(当サイトで要約)

会社の誰とも話せる状態にないなら、退職代行に連絡を任せる方法もあります。
弁護士・弁護士法人でない者が報酬目的で法律事務を業とすることは弁護士法72条で原則禁じられており、民間企業が運営するところに頼めるのは、退職の意思を伝えるところまでです。
条件の交渉が要るなら弁護士に、入っている労働組合があれば組合に相談します。

出典: e-Gov法令検索「弁護士法」第72条(当サイトで要約)

今日と今週にやること

辞めると決めている人の今日:

  • 辞めたい日を1つ決めて、カレンダーに書く
  • 契約期間と、就業規則の退職の条を開く

今週中:

  • 待っているものを書き出し、日付の無いものを消す
  • 休日と有給を置いたカレンダーで逆に数え、言う日を予定に入れる

迷っている人は決めるほうが先です。
眠れない、体が動かない日が続いているなら、今週やるのは受診と、休む相談です。

辞めると決めた人は、カレンダーの辞めたい日に、今日、印を1つ付けてください。

アイキャッチのイラストはAI生成です。

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