面接で転職理由を聞かれたとき。今の職場への不満を、次にやりたいことに言い換える

面接で転職理由を聞かれたとき。今の職場への不満を、次にやりたいことに言い換える 在職中の転職

「今の会社を辞めようと思ったのは、どうしてですか」
面接の中盤、志望動機のすぐあとに、この質問が来ます。
頭に浮かぶのは、先月の終電と、何も変わらなかった評価面談のことだったりします。

本当の理由はそれでも、面接でそのまま口にすると、話がそこで止まりがちです。
かといって、きれいな言葉で包んで中身をなくすと、次の「具体的には?」で詰まります。
不満を消さずに、向きだけ変える手順を書きます。

面接官がこの質問で確かめたいこと

転職理由を聞く側が知りたいのは、前の会社の良し悪しではありません。
うちに来ても同じ理由でまた辞めないか、うちで何をしたい人なのか、の2点に集まります。

「残業が多くて」だけで終わると、面接官の頭には「うちも繁忙期は残業がある」が浮かびます。
同じ事実でも、「時間をかけるより、決まった時間で成果を出す働き方に変えたい」まで言えれば、話は次の会社での働き方に移ります。

紙を縦に3つに折る

言い換えは、頭の中でやるより紙でやるほうが早く終わります。
A4のコピー用紙を縦に3つに折り、左から「不満」「本当はこうしたかった」「応募先でそれができる理由」と見出しを書きます。

左の列には、遠慮せずに書きます。
「部長の機嫌で方針が変わる」「3年いて給料が1万円しか上がらない」と、思ったままの言葉で埋めていきます。
人に見せる紙ではないので、ここで丸めると、あとの列が薄くなります。

真ん中の列は、左の不満を裏返した文です。
「方針が変わる」の裏は「決めたことを最後までやり切りたい」、「給料が上がらない」の裏は「成果が評価と給与に結びつく仕組みで働きたい」になります。
裏返しが1行で書けない不満は、面接では使わない候補に回します。

右の列が、いちばん手間のかかるところです。
応募先の求人票、会社のホームページ、面接で聞いた話から、真ん中の願いが叶いそうな根拠を拾って書きます。
「評価制度が半期ごとの目標管理」「プロジェクト単位でメンバーが固定」のように、相手の会社の言葉で書けると強くなります。

言い換えの例

よくある不満を、真ん中の列まで書いてみるとこうなります。
右の列は応募先ごとに変わるので、ここでは空けています。

不満 本当はこうしたかった
残業が多い 限られた時間で成果を出す働き方をしたい
評価の基準がわからない 何をすれば評価されるかが見える環境で働きたい
同じ作業の繰り返し 担当の範囲を広げて、企画の段階から関わりたい
上司と方針が合わない 顧客の声をもとに提案できる立場で働きたい
会社の先行きが不安 伸びている分野で、長く経験を積みたい

表の真ん中だけを読むと、どれも聞き覚えのある言い回しに見えます。
面接で効くのは、このあとに自分の具体的な場面を1つ足したときです。

例(「残業が多い」が本当の理由のときの答え方):
今の職場では、月末の締めに合わせて毎月〔40〕時間ほどの残業が続いています。
集計の手順を自分で見直して、私の担当分は月〔10〕時間ほど減らせましたが、部署全体のやり方を変えるところまでは届きませんでした。
御社の求人で、業務の見直しを現場から提案できると読み、時間ではなく仕組みで成果を出す働き方をしたいと考えて応募しました。

例文の数字は〔〕で自分の数字に置き換えて使います。
効いているのは「自分で手を動かした」1行です。
不満を言いっぱなしにせず、今の職場で何を試したかを挟むと、「環境のせいにする人」には聞こえにくくなります。

深掘りの質問で崩れないために

言い換えた答えのあと、面接官はたいてい1歩踏み込みます。
「今の会社で、それはできないんですか」
この質問への答えを用意していないと、せっかくの言い換えがここで崩れます。

答えの材料は、紙の左の列にあります。
試したこと、相談した相手、それでも変わらなかった理由を、事実だけで2〜3文にしておきます。
「異動の希望を2回出しましたが、部署の人数の都合で見送りになりました」のように、出来事で言えると角が立ちません。

反対に、ここで嘘をつくと、あとが続きません。
言い換えるのは説明の向きであって、起きた事実ではありません。
入社後に前の職場を知っている人に出会うことも、業界によっては珍しくありません。

書類に書いた理由と、口で言う理由を揃える

面接官の手元には、こちらが出した職務経歴書や応募フォームの写しがあります。
書類に「キャリアアップのため」と書き、面接で「評価の仕組みに納得できなくて」と話すと、どちらが本当なのかと受け取られます。
中身が同じでも、言葉が違うだけで、つじつまを確かめる質問が1つ増えます。

紙の真ん中の列に書いた1行を、書類の転職理由の欄にもそのまま使うと、ずれが起きません。
複数の会社に応募しているなら、会社ごとに右の列だけを差し替えます。
真ん中の列まで会社ごとに変えると、どの会社に何を話したか、自分で追えなくなります。

給与や人間関係が本当の理由のとき

「給料が上がらないから」は、口にしにくい理由の代表です。
ただ、金額そのものより、上がらない仕組みのほうに話を寄せると言いやすくなります。
「担当の売上を2年続けて伸ばしましたが、評価が年功で決まる制度のため、給与には反映されませんでした」なら、不満ではなく事実の説明として聞こえます。

希望の金額をいつ、どう伝えるかは別の話なので、転職理由の答えには混ぜません。
理由の場面で金額まで言ってしまうと、条件だけで会社を選んでいるように受け取られることがあります。

上司の言動がつらくて辞める場合や、ハラスメントが理由の場合は、無理に前向きな話へ作り変えることはしません。
「職場の環境の問題で、続けるのが難しいと判断しました」と短く事実を言い、すぐに「次の職場では〇〇をしたい」へ移ります。
細かい経緯まで話す必要はありません。

面接官にもう少し聞かれたら、「個人を責める話になってしまうので、詳しくは控えさせてください」と返す手もあります。
そう言ったうえで、真ん中の列の願いをもう一度言えば、話は前に進みます。

面接の日程を今の仕事とどう両立させるかは、在職中に面接の時間を作る方法に書きました。

口に出して、時間を計る

紙の3列が埋まったら、スマホのストップウォッチを押して、声に出して答えてみます。
1分を大きく超えるなら、左の列の話が長すぎることが多いです。
不満の説明を1文に削り、右の列の話を1文足すと、だいたい1分に収まります。
縮めた答えは、紙の裏に清書しておきます。
面接の直前に駅のホームで読み返すのは、その裏面の数行だけです。

録音して聞き返すと、自分の声が思ったより暗いことに気づく人もいます。
そこは直さなくていい、という考え方もあります。
辞めたい理由があって転職するのは、暗くて当たり前だからです。

面接の朝、駅のホームで紙の裏を開きます。
清書した3行のうち、2行目だけは、まだ自分の言葉に聞こえません。
電車が来るまでに、そこを口の中で2回くり返します。

アイキャッチのイラストはAI生成です。

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