希望条件は、全部言うより、順番をつけて言うほうが通ります。
転職エージェントとの最初の面談は、経歴の確認から始まります。
条件の話に入るのは、そのあとの残り時間です。
面談の予約を入れた日、メモ帳に思いつく条件を書いていくと、すぐに10個を超えます。
年収、勤務地、残業、在宅勤務、職種、会社の規模、休日、転勤の有無。
どれも外したくない気がして、並べたまま面談の日を迎える人は少なくありません。
全部を同じ重さで伝えると、担当者はどれを優先して求人を探せばいいのか分かりません。
結果として、条件のどれかが少しずつずれた求人が、まとめて届きます。
書き出した条件を、3つの箱に分ける
最初に、条件を1つずつ付箋かメモの1行に書き出します。
「年収を上げたい」ではなく「年収480万円以上」、「通勤が楽」ではなく「家から片道50分以内」のように、数字か言葉で線が引ける形にします。
線が引けない条件は、担当者も求人と照らし合わせられません。
書き出したら、3つの箱に分けます。
これが満たせないなら応募しない、という条件。
満たせればうれしいが、ほかが良ければ目をつぶれる条件。
実はどちらでもいい条件。
「応募しない線」の箱に入るのは、多くても3つまでにします。
4つ以上入れると、当てはまる求人の数が一気に減ります。
迷う条件は、真ん中の箱に入れておけば、あとで動かせます。
分けてみると、「どちらでもいい」の箱にも意外と条件が入ります。
会社の規模や知名度は、書き出したときには大事に見えても、理由を自分に聞き直すと答えに詰まることがあります。
詰まった条件は、ためらわずに「どちらでもいい」の箱に移します。
箱の中でも、上から順に並べる
箱に分け終えたら、それぞれの箱の中を、上から大事な順に並べ替えます。
いちばん上の箱に「年収」「勤務地」「職種」の3つがあるなら、その3つのうちどれがいちばん動かせないかを決めます。
順番を決める手がかりは、「どちらか1つしか取れないなら」と自分に聞くことです。
年収は希望どおりで通勤が片道70分の会社と、年収は30万円低くて通勤が片道30分の会社なら、どちらに行くか。
こうして2つずつ比べていくと、並びが決まっていきます。
例(面談に持っていくメモ):
【応募しない線】
1)職種: 法人営業か営業企画
2)年収: 480万円以上(今は額面で450万円)
3)勤務地: 自宅から片道50分以内
【あればうれしい】
4)在宅勤務が週1日以上
5)月の残業が平均20時間以内
【どちらでもいい】
会社の規模、上場しているかどうか
【在職中の事情】
連絡は平日19時以降かメール、入社は内定から2か月後が目安
このメモは、面談のときに画面共有で見せてもいいし、手元で読み上げてもかまいません。
番号を振っておくと、担当者から「3番は少し広げられますか」のように、話が具体的に返ってきます。
面談では、線の引けない理由もひと言そえる
順番だけを伝えると、担当者には「なぜその順番なのか」が見えません。
理由が分かれば、条件に合わない求人でも、理由には合う求人を出してもらえることがあります。
たとえば勤務地を「片道50分以内」にした理由が、保育園のお迎えに間に合うことなら、そう言っておきます。
すると担当者は、通勤が60分でも時差出勤ができる会社や、在宅勤務が多い会社を候補に入れられます。
理由まで話すと、条件の線に幅が出ます。
今の職場で何がつらいのかも、ここでは話しておきます。
面接と違って、話す相手は応募先の会社の人ではありません。
「月末に毎回終電になる」「上司が変わるたびに評価の基準が変わる」と具体的に言っておけば、同じつらさを抱えていそうな会社を、求人の段階で外してもらいやすくなります。
ただし、そのまま応募書類に書く言葉ではないので、書類の段階では言い換えます。
年収の数字には、今の年収の中身も合わせて伝えます。
額面か手取りか、賞与と残業代が入っているかどうかで、同じ450万円でも意味が変わるからです。
在職中の人が、最初に言っておくこと
今の会社に勤めながら活動している人は、条件とは別に、連絡の取り方を最初に決めておきます。
日中は電話に出られないこと。
メールかメッセージで送ってもらえれば、昼休みか夜に返すこと。
これを最初に言っておかないと、仕事中に電話が何度も鳴ることになります。
面接に出られる曜日と時間帯も伝えます。
「水曜の18時以降か、有給休暇を取れば平日の午後も行けます」のように、具体的に言うと日程の調整が早く済みます。
有給休暇や半日休を使った面接の時間の作り方は、在職中に面接の時間を作る方法の記事が参考になります。
いつ入社できるかも、条件と並べて伝えておきます。
内定から入社までに、引き継ぎと退職の手続きでどれくらいかかりそうか。
就業規則に退職の申し出の期限が書いてあるなら、その日数も入れて見積もります。
ここがずれると、内定が出たあとに入社日の相談で慌てることになります。
「条件を広げてみませんか」と言われたとき
面談の終わりのほうで、担当者から「この条件だと求人が少ないので、少し広げてみませんか」と言われることがあります。
そのときに広げるのは、真ん中の箱の条件からにします。
「応募しない線」に入れた条件を、その場の勢いでは外しません。
どうしても迷ったら、「一度持ち帰って考えます」と言って、その場では決めずに帰ります。
面談のあとに、3つの箱を見直して、メールで返せば足ります。
お金のことも1つ。
職業安定法は、有料職業紹介事業者について「求職者からは手数料を徴収してはならない」と定めています(芸能家・モデルの職業や、賃金が国の定める額を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者の職業に紹介した場合などは、施行規則に例外があります)。
紹介を受けるだけで、自分の側に費用がかかる話は、ふつうは出てきません。
もし面談の中で費用の話が出たら、何の費用なのかを書面で確かめます。
紹介をしている会社が国の許可を受けているかは、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で調べられます。
このサイトは、職業紹介事業などの許可・届出事業所の一覧を載せています。
許可を受けた事業者は、事業所ごとに許可証を備え付け、関係者から求められたら見せることになっています。
出典: e-Gov法令検索「職業安定法」第32条の3・第32条の4/e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」第20条/厚生労働省「人材サービス総合サイト」
面談が終わったら、メモに日付を足す
面談で話した内容は、その日のうちにメモの下に書き足します。
担当者に言われたこと、広げると決めた条件、次に連絡が来る日。
複数のエージェントに登録しているなら、どこに何を伝えたかを、同じメモの別の欄に分けて書いておきます。
求人が届き始めると、条件の順番は少しずつ揺れます。
3番だった在宅勤務が、求人票を何枚も見るうちに2番に上がってくることもあります。
入れ替えたら、メモの番号も書き直します。
最初の1枚は消さずに、その横に並べて残しておくと、自分がどこで考えを変えたかが分かります。
付箋は、たぶん12枚くらいになります。
そのうち赤いペンで丸をつけるのは、3枚までです。
アイキャッチのイラストはAI生成です。



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