入社して数週間、試用期間の途中で辞めたいと思っていても、辞めると伝えることはできます。
期間の定めが無い雇用なら、退職の申し入れについての民法の決まりは、入社1か月目でも10年目でも変わりません。
試用期間が終わるまで待つことも、法律では求められていません。
今日やるのは、労働条件通知書を出して契約期間と試用期間の書き方を見ることと、入社前に聞いていた話と今の違いを書き出すことです。
理由をどこまで話すかで止まっている場合は、退職理由の嘘に罪悪感があるときに書きました。
試用期間中でも、雇用契約はもう始まっている
厚生労働省のモデル就業規則は、採用した日から試用期間とし、試用期間は勤続年数に通算する、という形で書かれています。
解説も、試用期間中の人でも14日を超えて雇ったあとに解雇するには、原則として30日以上前の予告が要る、としています(労働基準法20条・21条)。
試用期間の途中でも、雇われていることに変わりはありません。
期間の定めが無い雇用なら、民法627条により、働く側はいつでも解約の申し入れができます。
申し入れは会社に届いたときに効力が出て(民法97条)、原則は届いた日の翌日から数えて2週間で終わり、それより後の日を指定すればその日に終わります(民法140条)。
就業規則に「1か月前までに申し出る」などとあれば、その期限も見て日程を相談します。
2週間より早く辞めたいなら、合意できるかを相談します。
契約に期間があるかは、日付の有無だけでは決まりません。
通知書で「期間の定めあり・なし」、契約の終了日、試用期間の書き方を分けて見ます。
試用期間の日付しか無い、書き方が曖昧なら、有期と決めつけずに相談します。
「期間の定めあり」で終了日もあるなら、途中で辞める道は2つです。
会社と退職日を合意するか、一方的に解除するかです。
解除には、民法628条の「やむを得ない事由」か、次の章の労働基準法15条2項に当たることが要ります。
迷ったら、総合労働相談コーナーで聞けます。
予約不要・無料ですが、退職の連絡を代わりにする所ではありません。
出典: 厚生労働省「モデル就業規則」第6条と解説/e-Gov法令検索「民法」第97条・第140条・第627条・第628条/e-Gov法令検索「労働基準法」第20条・第21条/厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(当サイトで要約)
聞いていた話と違うなら、書類と並べる
入社前の話との食い違いが理由なら、左に労働条件通知書(雇用契約書)の記載、右に実際を書きます。
2024年4月からは就業場所と業務の「変更の範囲」も示すことになったので、その欄も写します。
通知書を受け取っていないなら、会社には労働条件を明示する義務がある(労働基準法15条1項)ので、人事に書面を頼みます。
架空の記入例(入社3週目の事務職を想定):
・就業の場所「本社」→ 2週目から倉庫の作業が毎日ある
・始業9時・終業18時 → 8時半の朝礼に出るよう言われている
・従事する業務「一般事務」→ 電話営業の目標件数が渡された
・面接で聞いた「最初の1か月は研修だけ」→ 3日目から1人で電話番をしている
これは相談用の整理の例で、1行ずつが即時に解除できる理由になると判断するものではありません。
行ごとに、入社時の条件と、いつ誰に何と言われて変わったかを書き足します。
朝礼なら、時間外労働の定めと、その30分の給与明細での扱いを並べます。
労働基準法15条2項では、契約を結ぶときに明示された労働条件が事実と違う場合、働く側は即時に労働契約を解除できます。
書面で示す方法が決まっているのは一部の事項で、職業訓練などは、会社が定めていれば書面か口頭で明示するものとされています。
口頭で聞いただけで対象外にはなりません。
求人や面接での説明が、契約を結ぶときの労働条件として明示されたものか、中身と証拠を確かめます。
求人票の控え、面接の連絡メール、面接後のメモも相談の資料にします。
「辞めるなら研修費を払って」と言われそうで黙っている人もいます。
労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金や損害賠償の額を前もって決める契約を禁じていますが、どんな請求も受けないという意味ではありません。
立て替えや貸し付けの書面にサインしているなら、それも持って相談します。
出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第15条・第16条/ハローワークインターネットサービス「労働法等に関する解説」/熊本労働局「令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります」(当サイトで要約)
「早すぎる」の中身を分ける
入社すぐの「言い出せない」には、採用した人への申し訳なさ、何も覚えていない焦り、次の面接での見られ方が混ざりがちです。
次の会社への説明は、今の会社に何を言うかとは別に考えられます。
引き継ぎは、受け持った作業、進行中の案件、パソコンや社員証などの貸与物を、分かる範囲で紙1枚に書き出すところから始めます。
採用した人への申し訳なさは、その紙と、最後の日の短い挨拶で返します。
慣れていないだけか合わないのか分からないなら、1週間、つらかった場面を時刻と一緒にメモします。
「火曜10時、電話に出られず固まった」と「毎朝、改札の前で引き返したくなる」を並べてみます。
前者は教わる順番の相談で変わることがあり、後者が続くなら、辞めるかどうかより先に受診します。
入ったばかりで、誰に言えばいいか
配属が決まっているなら、配属先の上司に伝えます。
研修中で配属前なら、研修の担当か、採用でやりとりした人事の担当者です。
例(相手に送る最初の一文):
・まだ迷っている →「今後の働き方のことでご相談があります、15分ほどお時間をいただけますか」
・期間の定めが無い契約で、辞めると決めた →「一身上の都合により、〔〇〇〕月〔〇〇〕日をもって退職します、手続きの進め方を教えてください」
退職願のように会社の承諾を求める形と、「〇日をもって退職します」と言い切る辞職の申し入れとでは、あとから取り消せるかどうかの扱いが分かれることがあります。
どちらに当たるかは、文面や前後のやりとりで判断されます。
辞職なら、退職日は届いた日の翌日から数えて2週間を過ぎた日以降にします。
送信の記録だけでは届いた日の裏付けにならないことがあるので、返信が無ければ口頭で確かめます。
期間の定めがある契約なら、この一文は使わず、退職日を合意できるかの相談として切り出します。
「せめて3か月は」と言われたら、「ありがとうございます、ただ決めたことは変わりません」と返し、退職日と手続きの話に戻します。
引き止めが続くときの返し方は、退職の引き止めの断り方にまとめました。
出典: 厚生労働省「モデル就業規則」第52条と解説/民法97条・627条は最初の出典と同じ(当サイトで要約)
今日と今週にやること
今日:
- 労働条件通知書(雇用契約書)を出して、「期間の定めあり・なし」、契約の終了日、試用期間の書き方を分けて見る(無ければ人事に頼む)
- 入社前に聞いていた話と今の仕事を、左右に分けて書き出す(求人票やメールも手元に集める)
今週中、状況ごとに:
- 迷っている → 1週間メモし、上司か研修の担当に相談の時間をもらう
- 書類と実際が違う → 並べた紙と資料を持って総合労働相談コーナーで聞く
- 期間の定めがある、または曖昧 → 合意で辞めるか、628条・15条2項の解除かを同じ窓口で先に確かめる
- 期間の定めが無い契約で、辞めると決めた → 就業規則の退職の条を見て、退職日を書いた一文を伝える相手に送る
- 眠れない、朝に体が動かない → 受診と、休む相談が先
通知書を見たら、契約期間と試用期間の欄を、書かれている言葉のままメモの1行目に写しておきます。
アイキャッチのイラストはAI生成です。



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