「では最後に、何かご質問はありますか」
面接官がペンを置いて、手元の履歴書を閉じかけています。
ここで「特にありません」と答えると、面接はそのまま終わります。
在職中に転職する人には、入社してから困らないための確かめごとを、相手の口から聞ける数少ない場面です。
残業がどれくらいあるか、どこに配属されるか、入社をいつにするのか。
求人票には書いてあっても、幅のある書き方になっていることが多い項目です。
質問は3つに絞って、手帳に書いておく
面接の最後に残る時間は、長くありません。
質問を5つも6つも用意していくと、聞きたいことの半分も聞けずに終わります。
持っていくのは、聞く順番をつけた3つくらいが扱いやすい数です。
在職中の人なら、その3つに、残業と配属と入社日の話をそれぞれ1つずつ入れておきます。
仕事の中身の質問は、面接の途中で答えが出ていることも多いので、予備に回します。
途中で答えが出た質問は、手帳の上で線を引いて消しておくと、最後に同じことを聞かずに済みます。
誰が面接官かによって、聞く質問を入れ替えることもあります。
一次面接に出てくるのが配属先の課長なら、残業と配属の話はその人がいちばん正確に答えられます。
人事の担当者が相手なら、入社日や手続きの話のほうが返事をもらいやすい。
最終面接で役員が相手のときは、細かい数字より、配属先のチームにこれから何を期待しているかを聞くほうが、話がかみ合います。
面接の案内のメールに面接官の部署が書いてあれば、前の晩に質問の順番を入れ替えておきます。
残業は、数字と時期で聞く
「残業はありますか」と聞くと、「多少はあります」という答えが返ってきて、それで終わることがよくあります。
聞き方を変えるだけで、返ってくる中身が変わります。
例(残業の聞き方):
「配属になる部署の方は、ふだんの月で何時ごろに退社されることが多いでしょうか」
「1年の中で、忙しくなる時期があれば教えていただけますか」
「その時期は、月にどれくらい残業が増えるものでしょうか」
退社する時刻を聞くと、相手は「だいたい19時くらいには」のように、思い浮かべやすい形で答えてくれます。
忙しい時期を聞いておくと、入社の時期がちょうどその山にぶつかるかどうかも分かります。
数字が返ってこなかったときは、「忙しい時期の様子は、内定のあとの面談で改めて伺ってもよろしいですか」と、聞き直す場を先に作っておきます。
聞くときに、今の会社の残業がつらいという話は出さずにおきます。
「入社後の生活の組み立てを考えておきたくて」と前に置くと、残業を嫌がっているような響きが薄れます。
配属は、部署と人と、最初の3か月を聞く
求人票に「営業部」とあっても、入ってみたら別の課だった、ということは起こります。
配属の話は、面接の最後なら聞きやすい話題です。
聞いておきたいのは、どの部署の、どのチームに入るのか。
そのチームが何人くらいで、上司になる人はどんな立場の人か。
入社して最初の3か月は、どんな仕事から始めることになるのか。
この3つが分かると、入社した日の自分の姿が、かなり具体的に浮かびます。
例(配属の聞き方):
「もしご縁をいただけた場合、最初はどちらのチームに入ることになりますか」
「入社して最初の3か月ほどは、どのようなお仕事から始めることが多いでしょうか」
転勤や異動の可能性まで面接で詰めようとすると、答えが「会社の方針による」で終わることが多くなります。
勤務地や仕事の変わる範囲は、内定のあとに受け取る労働条件の書面で確かめるほうが確実です。
内定承諾の前に労働条件通知書で確かめる項目の記事では、勤務地と仕事の変更の範囲を書面のどこで見るかを扱っています。
配属の質問には、もう1つ足せるものがあります。
その席が前任者の退職で空いたのか、人を増やすための募集なのか。
前任者がいるなら、入社したときにまだ引き継ぎを受けられるかどうかで、最初の1か月の忙しさが変わります。
「前任の方からの引き継ぎの期間はありますか」と聞けば、答えの中に配属先の今の様子も出てきます。
入社日は、引き継ぎの期間を自分から言う
在職中の人がいちばん聞きそびれやすいのが、入社日の話です。
面接官は、応募者がいつから来られるかを知りたがっています。
聞かれるのを待つより、最後の質問で自分から切り出したほうが、あとで日付がこじれません。
切り出す前に、自分の側の日数を数えておきます。
就業規則で、退職の申し出は何か月前までと決まっているか。
今の担当の仕事を、誰かに渡すのにどれくらいかかりそうか。
残っている有給休暇を使うなら、その日数も足します。
残りの日数の確かめ方から知りたいなら、退職前に有給休暇を使い切る段取りへ。
例(入社日の聞き方):
「現在の職場で、退職の申し出から引き継ぎを終えるまで、2か月ほどかかる見込みです
内定をいただいた場合、入社の時期はどのくらいまでお待ちいただけるものでしょうか」
数字を先に言うと、相手もその場で「2か月なら大丈夫です」「できれば1か月半で」と返しやすくなります。
もし「来月からでも来てほしい」と言われたら、その場で合わせる約束はしないでおきます。
「今の職場の規則を確かめて、内定をいただいた段階でご相談させてください」と返して、答えを持ち帰ります。
入社日の希望を早めに伝えておくと、ほかの応募者と比べて不利にならないかが気になるかもしれません。
ただ、2か月後の入社を伝えずに内定をもらい、あとで日付が合わなくなるほうが、相手にとっても自分にとっても負担が大きくなります。
在職中の人が引き継ぎの期間を言うのは、相手から見れば、今の職場を雑に辞めない人だという材料にもなります。
聞かないでおく質問もある
年収の話は、面接官から希望を聞かれたときか内定のあとの面談に回し、最後の質問でいきなり金額から入るのは避けます。
ホームページで分かる事業内容も聞かず、読んだことを足場にして「〇〇の事業に力を入れていると拝見しましたが、配属先のチームはそこに関わりますか」と聞きます。
「今の会社には、もう伝えていますか」と聞かれたら
入社日の話をすると、面接官から逆に「現職には退職のことをお話しされていますか」と聞かれることがあります。
まだ伝えていないなら、そのまま「内定をいただいてから伝える予定です」と答えれば、話は進みます。
そこで「すぐにでも辞められます」と言ってしまうと、あとで引き継ぎの日数を足したときに、面接で話した日付と合わなくなります。
伝える予定の時期と、申し出から退職までにかかる見込みを、さっき数えた日数のまま答えます。
「内定をいただいたら翌週には上司に伝え、2か月後の入社を目安に考えています」くらいの言い方なら、相手も入社日の見当をつけられます。
次の面接の前の晩、聞く質問を3行だけ書き出しておく。
アイキャッチのイラストはAI生成です。



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